続・受験勉強とやり抜く力
〜「やり抜く力」の副作用〜

「子供と受験」というコラムの中でお話した「やり抜く力」には、目標に近づくに連れて充実感を覚えながらも、さらに新たな目標を見つけて人生の幅を広げていくタイプと、努力を続けていくことで自分を追いつめてしまうタイプがあります。
 
後者のタイプは避けたいですよね?
 
受験勉強のように、半ば強制的な目標を持って、何の楽しみも見いだせないまま日々単調に「やり抜く力」を発揮していると、やがてテストの点数などの成績と人間としての自己評価を結びつけてしまうようになります。
 
自分の価値をテストの点数でしか確認できなくなってしまうのです。
 
これは、記録更新やプロとしての活躍などを目指すアスリートにもみられる現象です。
 
このタイプの「やり抜く力」が身についてしまうと、例えば念願の志望校に合格した途端、自分を見失って、これから先なにをすればいいのかわからなくなってしまいます。
 
成功したアスリートの場合は、引退の時期を迎えても過去の栄光に執着し、新たな目標を見つけて人生を次のステージに進めることができなくなってしまいます。
 
 
 
自分を追いつめることなく、人生の幅を広げていくために「やり抜く力」を発揮するにはどうすればいいのでしょうか?
 
心理学の研究によると、ひとつの解決策は「やり抜く力」を発揮する対象を2つ持つことです。
 
受験勉強は大切ですが、他になにかひとつ、お子さんが興味を持っていることをやらせてあげてはどうでしょう?
 
一番好きなこと、興味があることをひとつ選び、遊びではなく本格的な趣味として取り組ませるのです。
 
楽器やスポーツ、写真、絵、プログラミングや動画制作など、なんでもいいです。
 
日々努力を続けることで、辛いながらも時に喜びを感じられることに取り組むのです。
 
繰り返しますが、遊びではダメです。最低でも趣味のレベルを目指してください。
 
人生とはタフなものです。
 
 
 
いくら楽しいこと、好きなことと言っても、それを趣味以上のレベルでものにすることは、小さなお子さんにとっては簡単なことではないと思います。
 
だからといって、ちょっとやってすぐにあきらめてしまっては、「やり抜く力」はいつになっても身につきません。
 
小学校を卒業するまで、とか、いまから最低3年間など、あるていどの期間を区切って続けることを目標にするのもいいと思います。
 
そのためには「何をやるか」を決める時に、よくよく考えて、やり抜く決心をさせることが大切です。
 
それを決めるためなら、はじめにいくつかの習い事を試してみるのもいいでしょう。
 
そのために夏休みを使ってもいいし、お子さんがまだ幼いのであれば、数年かけてもいいでしょう。
 
そのかわり、目標を持って取り組むことを決めるためだということを忘れないでください。
 
そして一度決めたら、なかなか上手くいかなかったり、ちょっと辛いことがあってもくじけずにやり続けさせる覚悟をもって始めましょう。
 
 
 
楽しむための「やり抜く力」をつけていけば、上手くすると勉強にもその力を使えるようになります。
 
勉強をやり抜くことは、将来好きなことをやり抜くための手段のひとつです。
 
受験勉強の経験を通して、本当にやりたいことのために「やり抜く力」を発揮できるようになれば理想的です。
 
私が知っているとても優秀な研究者の先生方の多くは、専門の研究以外にもさまざまな趣味をお持ちです。
 
そしてその趣味も、ほとんどプロレベル、もしくはその道のプロという方々です。
 
「やり抜く力」を人生の幅を広げ、さらなる喜びを得るために活用されています。
 
スポーツの分野では、サッカー選手だった中田英寿さんなどが好例ではないでしょうか?
 
 
 
これは子供だけではなく、大人にも言えることです。
 
10年間がむしゃらにがんばれば、人生は変わります。10年は運勢的にもひとつの区切りになります。
 
逆に、10年間を怠惰に過ごせば、状況はどんどん悪くなっていくでしょう。
 
今の生活習慣を10年続けたらどんな人生になるのか想像してみてください。
 
そうすれば、このまま続けた方が良い習慣、早急に改めた方が良い習慣が見えてくるはずです。
 
いま40代や50代の人も、今日からピアノをはじめたとして、50代、60代の終わり頃までには経験10年以上の立派なアマチュアピアニストになれます。
 
ピアノに限らず、好きなことを10年計画で始めてみませんか?
 
お子さんの教育もご自身の生活も、10年先を見据えて気合を入れて元気にいきましょう!
 
 
 「学歴だけが人生じゃない」に続く。
 

 

 

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